
2008年2月、1ユーロがまだ160円の頃に、ヨーロッパ各地のマルシェを1ヶ月間回ってきました。訪れた国は、オランダ→ルクセンブルク→ドイツ→イタリア→スイス→フランスでしたが、なかでも最終目的地フランスではパリ在住の日本人にいろいろと話を聞けたので、パリのマルシェで感じたことをお伝えします。詳細の場所は忘れてしまいましたが、パリでも有数のマルシェに行きました。パリでは、マルシェが街のあちこちにたっていて、街中の地図には、銀行や交番と並んでマルシェのマークが印されたりしています。
訪れたマルシェは、毎週水曜、土曜にたっており、野菜・果物のほかにも魚、肉、チーズ、お花など様々な店が並んでいます。
ここに来れば大体揃うな、という感じ。確かに近くにスーパーはあまり見かけません。青果店を詳しく見てみると、どうやら、生産者自身が出店していることはあまりなく、ほとんどは「無店舗移動式の八百屋さん」のようです。つまり、大きなトラックにマルシェキットを積み込んで、朝、市場で野菜を調達して、毎日違うマルシェで出店しているということ。なるほど、どおりで毎日 Milano中央駅からTorinoに向かう電車内では、イタリア国内であるにも関わらず、英会話があちらこちらから聞こえた。それが世界中から多くの人がSalone del Gustoに訪れているからだとわかったのは、隣に座ったAtlanta 在住の料理人と会話してからだった。イタリアに本部を置く、スローフード協会が2年に1度開催する世界中のスローフードの見本市、Salone del Gusto(味のサロン)には世界中から非常に高い関心が寄せられているようで、Torino の街は、宿を予約するのが困難な状態だった。

スローフード協会は生物多様性を守ること、本物の味の教育をすることなどを目的に1986年に設立され、画一化、ファーストフード化の流れに対して、ロゴマークであるカタツムリのように緩やかな革命を展開している。
私はこのSalone del Gustoに5日間全日程参加したのだが、そこでまず感じたことは、本当に世界には多様な食品があるということだ。木の幹の中に作るチーズ、バラのジャム、世界で5軒の農家しか作っていないというパプリカ、サラミ1つとってみても柔らかいもの、固いもの、味の強いものなど様々で、ワインにも各地の生産者から強いこだわりを持っていることを感じ取ることができた。同じ食品でもこれほどに種類が豊富なのには、その一つ一つに誕生した理由があるに違いないと考えたとき、その奥深さにマルシェがたつわけですね。
さて、マルシェの様子はというと、品の良いおばあちゃんが、キャリーバックをコロコロとひいてやってきたり、ビジネスマンが小さなりんごを買って、かじりながら歩いていたりしています。ほとんどの店にイチゴが並んでおり、1パック買って食べてはみるものの、日本のイチゴのほうが断然おいしく、パリに来て日本の農業技術を誇らしく思うこともできます。
他にも、各店のディスプレイがオシャレで工夫していて、それを見ているだけでも全く飽きない。それにしても、このマルシェ、居心地が良い。 そして、このマルシェには、一軒だけ生産者の店舗がありました。パリから10km 離れたところに農場があるとのこと。固定資産税はどうなっているんだろう、とフランスの農業政策にも思いを馳せながら店を見てみると、やはりイチゴは並んでおらず、様々な種類の葉物と根菜類がズラーっと並んでいます。そして、他店よりも圧倒的に客が多い。客は店主にいろいろ聞きたいようで、他の客と店主の会話が終わるのをいまかいまかと待っています。

そういえば、どの店でも、客は店戸惑いさえ感じてしまった。また、食品と共に世界の音楽も画一化が進んでいるとのことで、今回からは世界中から音楽家が招かれ、会場の2か所の特設ステージで伝統的な音楽が奏でられていた。その中でも私はイヌイットの演奏に釘付けになってしまった。彼らがイヌイットであるということは後で知ったことで、どこの国の人かも、何を歌っているのかも知らないけ主と会話しながら買い物している。お勧めの野菜や、料理方法を話しているのだろう。そうか、この居心地の良さは、あちこちの店で繰り広げられる客と店主の会話が織り成しているんだ、と個人的な解釈で勝手に納得しながら、東京にもこういう場所があればいいのにと、ただただ純粋に羨ましく思いました。
東京では、スーパーで野菜を買うことがほとんど。スーパーは毎日遅くまで開いていて便利だけど、聞こえてくるのは、テープレコーダーから流れてくる「安いよ」の声と、お店の変なテーマソング。交わす言葉も、「ポイントカードはございますか」「レシートは要りません」ぐらい。 スーパーとマルシェは販売システムの違いなんだろうけど、そこで発生する会話の量は、圧倒的にマルど、彼らの全身を使った言葉ではとても言い表せない演奏に涙が止まらなかった。会場の聴衆も、言葉の意味など恐らく理解していなかっただろうが、大きな歓声を上げていた。数えきれない程多様な食品、音楽を目の当たりにして、改めて多様性が豊かさを生み出すということを体感した。
今回からはSalone del Gustoと同時に世界中から招かれた生産者やそれに関わる人々の集いであるTerra madre(母なる大地)も隣の会場で行われていた。私は運よくそのなかの1つ、新しいネットワーク「若者、食、農業」という会議に参加することができた。そこでは、世界中からやってきた若者が次々と事例発表をしていた。エクアドルで1700種もの種を守る団体、アメリカで展開されている“eat i n”と呼ばれる食卓を囲んだ抗議運動の報告、ポーランドの環境保護活動の報告など、世界中で若者が未来に希望を持ち、活発シェの方が多くて、そして会話の内容も、きっとマルシェの方が楽しくて、豊かな生活を演出するものだと思う。本当に月並みな言葉だけど、マルシェでは買い物と会話が楽しめる。売っているものはもちろんだけど、コミュニケーションが農の未来を創ることをパリで再確認した。
Mitsushi Kodama
長野県のアスパラ農家の長男として生まれる。
小学校から大学まで続けた野球は、実はアスパラ収穫の手伝いからの逃亡行為。IT 企業に勤めるも、今さらながら実家での農的生活や仕事としての農業を見直し始める。スクーリングパッド農業ビジネスデザイン学部に通うと、同じく一期生で、同じく農家のセガレのアツシとミノルと3人で『セガレ』を立ち上げる。セガレとは農家を継がずに東京で働く農家の息子(セガレ)と娘(セガール)が始めた親孝行プロジェクトで、週末に東京各地のマーケットでオヤジの野菜を販売するなど様々なプロジェクトを行っている。
www.segare.jp













フタバフルーツ 中野 都立家政で70年三代続くフルーツショップ。三代目の成瀬大輔は家業を継ぐと共にフルーツというメディアを通して、ジャンルを問わずさまざまな人とつながっていく。フルーツ業界の枠におさまらず、まったく新しいフルーツの可能性を求めて挑戦を続ける。
ぶった農産 江戸後期より先祖代々稲作を営んでまいりました。昭和25年にぶった農産の創業者が農業に就き、農耕牛馬を耕起、荷役につかう農業からスタートしました。その後、農業生産法人として法人化し、よいものづくりを半永続的に行っていくための組織経営を営んでおります。
fam farm 埼玉県入間市のちいさな有機農場ファムファーム。つくってたのしい、とどいてうれしい野菜を目指して野菜セットをお届け中です。第一次成長期まっただ中のファムファーム。みなさんの応援、盛り上げなどなど大歓迎です!
倅 農家を継がずに東京で働く農家の息子ユニット。東京にいながら農業のため地元のためにできることはないかと日々、新しい農業とのかかわり方を模索中。
今回のイチオシ:オヤジ直送の野菜と果物(親孝行してます)




